無償の愛

「好きか嫌いか?」と尋ねられたら、「嫌い」の部類だった犬。
縁あって、ミニチュアダックスの花と暮らすようになった。
動物飼育禁止のアパートに住んでいた時のことだ。
そのため、すぐにペット飼育可のアパートを血眼で探す羽目になる。

一緒に暮らすと、情が湧いてくる。
つぶらな瞳に柔らかな毛。
私がいないと生きていけない脆さ。

子供を産んでいない私に芽生えた、初めての母性だった。
花ちゃんは、私に色々なことを気づかせてくれた。
無償の愛。
そして命の脆さ。
花ちゃんが天国へ召された時、私は泣き続けた。
失恋した時よりも、離婚した時よりも、どんな時よりも悲しかった。この年になってこれが人生で一番悲しかった出来事なのだから、私は幸せな人生を歩んできたのだろう。

当時花ちゃんが4歳の頃、これも縁あって鈴ちゃんを我が家に迎えた。
鈴も、ミニチュアダックスだ。
多頭飼いの人達は、ほぼ皆同じ犬種を飼う。
その意味は私にはわかる。

「うちの子が一番可愛い」
と誰もが思っているから。