黒い部屋

私がBJクラブを始めて1年と2ヶ月がたった頃、家賃とパートタイム講師の給料が、生徒さんからの受講料で賄えるくらいになっていた。
(勿論自分の収入などない。)
 家賃が安くて場所が良い所、と暫く探していると、見つかった。
ゆめタウン向かいの面谷ビルだ。
面谷ビルには、1996年~2017年までお世話になる事となる。

ビルは古いが中を綺麗にすれば、なんとかなるだろう…
大家さんは、「中は自分でリフォームしてください」と言った。
壁と天井はタバコのヤニで黒く、床のタイルは半分くらいはがれていて、ドアには以前入居していた会社の看板が残っていた。
トイレの便器は真っ黒で、入り口とキッチンのドアは、色褪せてはがれていた。
夜逃げした後の、荒れ果てた事務所の一室のようであった。

それでも、なんだかいい予感がして、即契約を交わした。店舗の敷金は家賃の5ヶ月分と割高だった。
他にも最低限必要な家具もそろえたりしたので、開業資金はみるみる減っていた。
教室の壁とドアはペンキで塗った。サラリーマンの夫は、週末率先して手伝ってくれた。全ての壁を塗るのはかなりの作業だった。
床はさすがに素人には無理だったので、業者に依頼してカーペットを敷いた。看板は、日曜大工の店で道具を調達し、自分で作った。教室の間仕切りは、棚をおいてとりあえず間に合わせた。

こうしてなんとか、BJクラブ英会話は消滅の危機を回避し、居場所を見つけた。